HAS Quick Reference

答えを出すためではなく、

判断が閉じる前に、戻れる位置を思い出すための参照表。

※ このシートは判断を代行しない。ただ、壊さずに戻る位置を示す。


0. まず自分を確認する

  • 今、整っているか?
  • 速く答えを出そうとしていないか?
  • 誰かを動かそうとしていないか?
  • 「なんとかしよう」としていないか?

→ ひとつでも「YES」があれば、介入以外の選択肢が残っているかを思い出す。

※「なんとかしよう」が立ち上がっている場合、恐れ(Fear)が前提に含まれていることが多い。


1. 判断が閉じ始めているときの兆候

外に見えやすい兆候

  • 議論が速くなりすぎている
  • 正解探し・犯人探しが始まる
  • 声が強く、沈黙が消える
  • 誰かが「説明役」「正論役」に固定される
  • ファシリテーターが何とかしようとしている

判断が閉じ始めるときに、同時に前提化されやすいこと

  • 判断が急がれている
  • 整っていない状態が否定されている
  • 沈黙が問題として扱われている
  • 自分を場の外に置いた視点が固定されている
  • 場を「良くする」前提が立ち上がっている
  • 「なんとかしなければならない」衝動が前景化している

※ これらは是非や善悪ではなく、判断が閉じ始めているときに立ち上がりやすい観察ラベルである。


2. 判断が割れたときの参照軸

判断が割れたとき、どちらが正しいかではなく、 いま何が参照されて判断が立ち上がっているかを見るための軸。

  • 成果が参照されているか/状態が参照されているか
  • 不安の解消が参照されているか/願いが参照されているか
  • 役割の正しさが参照されているか/存在としての誠実さが参照されているか
  • 速さが参照されているか/整いが参照されているか
  • 前進のみが参照されているか/退却・保留が参照範囲に含まれているか

これは選択を決めるための原則ではない。

判断の参照点がどこに置かれているかを見直すための補助線である。

背景となる考え方は 判断参照原則 に置いてある。


3. 状態パタン一覧(即参照)

ここに書かれているのは、状態を変えるための手順ではない。 状態を、これ以上壊さないために、立ち上がりやすい行為を抑える目安である。

P01. 置かれた感情

兆候

  • 感情が抑え込まれている
  • 「こうあるべき」が先に出る

場の力学

感情を扱おうとした瞬間、

処理・整理・結論づけが立ち上がりやすい。

最小アクション

  • 評価・解釈を止める
  • 感情を言語化しようとしない
  • 「今、何が起きているか」だけに留める

P02. 識別された感情

兆候

  • Must / 正論 / 不安が支配している
  • 反対意見が出にくい

場の力学

恐れと願いが識別されると、

場は安心や正解を求めて一つに固まりやすい。

最小アクション

  • 「それは恐れ?願い?」と内心で識別する
  • 願いを引き出そうとしない
  • 混ざっている状態を許す

P03. 不快への滞留

兆候

  • 沈黙が不安で埋められる
  • 喋らないと進まない気がする

場の力学

不快や沈黙が生じると、

場は「動かすこと」「埋めること」に引っ張られやすい。

最小アクション

  • 5秒、何もしない(数えなくていい)
  • 呼吸を下げる
  • 沈黙を「問題」扱いしない

P04. 引受の成立

兆候

  • 「仕方ない」「決まったから」で進む
  • 誰も本当には引き受けていない

場の力学

決定が下りた瞬間、場は「従う/反発する」の二択に引き寄せられ、

「引き受け」という中間状態が消えやすい。

最小アクション

  • 決定権の所在を確認する
  • 引き受けられない選択を無理にさせない
  • 「選ばない」も選択として扱う

※ 各パタンの詳細は/resources/pattens/state以下に置いてあるが、今は見なくていい。


4. よくある状態

以下は、特にファシリテーター役にあるときに起きやすく、調律が崩れやすい状態の抜粋である。

「何かを良くしよう」「整えよう」とする行為そのものを 否定するためのものではない。

多くの場合、これらの状態は、 判断や関与が無意識の緊張や切迫感を前提として 立ち上がっているときに現れやすい。

HASでは、これらを 「止めるべき行為」ではなく、 観察に戻るための目印(観察点)として挙げている。

詳細な整理はファシリテーター役にありがちな状態例に置いてある。


場を良くしようとする

場を良くしようという意図が、 判断や関与の前提として立ち上がっている。

その結果として、 今ある状態よりも「こうあるべき」が先に参照されやすくなる。


感情を整理しようとする

感情をラベル付けする・まとめる・結論づける意図が、

判断や関与の前提として立ち上がっている。

その結果として、

まだ動いている感情が閉じられる方向に傾きやすい。


気づきを与えようとする

相手に気づきを与えようという意図が、 判断や関与の前提として立ち上がっている。

その結果として、 相手の内側で立ち上がる探索が外から先回りされやすくなる。


成果や次のアクションに結びつけようとする

意味づけや次の行動を定めようとする意図が、 判断や関与の前提として立ち上がっている。

その結果として、 いま起きているプロセスよりも、「次に何をするか」が先に参照されやすくなる。


なんとかしようとする

事態を止める・進める・収める必要があるという意図が、

判断や関与の前提として立ち上がっている。

その結果として、 介入すること自体が選択肢として固定されやすくなる。


最後に

HASは、答えを出すためのものではない。

無自覚に判断が閉じていく前に、 戻れる位置を示しておくだけである。


Document Control

  • Repo Version:
  • Last Modified: 2025-12-16
  • Commit:
  • Author: Takeshi Kakeda

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