用語集
HAS Kernel
「HAS v2.0 Final」のことを指す。
調律
調律(Attunement)とは、 相手(または自己)を変えず、 理解・同意・調整を行わないまま、 関係の分離が起きない関与を保つ在り方である。
共感でも、同調でも、調整でもない。 HASにおける調律は、関係の破綻を防ぐための最小限の関与を指す。調律の詳細については02_concept.mdを参照。
非介入
非介入(Non-intervention)とは、 相手(または自己)の内面を 変えよう・正そう・導こうとしないことである。
無視、無関心、関係の放棄を意味しない。 関心を向けたまま、内面に触れないことを指す。
境界防衛
境界防衛(Boundary Defense)とは、 関係の中で発生する暴力・威圧・支配的振る舞いを 物理的・構造的に遮断することである。
内容・動機・価値には一切立ち入らず、
選択の余地を奪う行為と構造だけを停止する。
(※評価・解釈・指導を含まない)
操作
操作(Manipulation)とは、 相手(または自己)に 特定の状態・選択・変化を期待して関与することである。
善意・配慮・支援の形を取ることが多いが、 HASにおいてはすべて操作とみなされる。
選べる状態
選べる状態(Agency)とは、 拒否・離脱・沈黙を含む選択肢が 対象者に現実的に存在している状態を指す。
評価・処罰・関係喪失の恐れにより 実質的な選択肢が存在しない場合、 その人は「選べない状態」にある。
内的調律
内的調律(Internal Attunement)とは、 自己の内面に介入せず、 あるがままの状態を見続けることで、 内的関係が破綻しない位置に戻っていく在り方である。
これは自己を整える方法ではない。 改善でも、最適化でも、統合でもない。
内的調律において行われるのは、 「何かをすること」ではなく、 「操作をしないこと」である。
※ 本定義は HAS Kernel の 「非介入」「主権」「関係」の原則を、 自己との関係に適用した補助定義である。
観察
観察(Observation)とは、 刺激に対して生じつつある身体反応を、 意味づけや感情名を与えずに認知している状態を指す。
判断はまだ立ち上がっていない。
観察は、HASにおいて基底となる位置の一つである。 判断や行為が成立する前提として、参照されうる。
何もしないことは放棄ではない。観察に留まることは、正規の実践である。
詳細については04_attunement_map.mdを参照。
判断保留
判断保留(Suspended Judgment)とは、 起きていることや、身体・内面に生じている反応を、 解釈前の「事実」として受け取っているが、 その意味付けや解釈、次の行為に関する判断を宙吊りにしている状態を指す。
選択肢を狭めないための介入の制限が起きている。
哲学的には、エポケー(判断中止)に相当する状態。
判断保留の目的は、良くすることではない。 選択肢を狭めないことだけである。
詳細については04_attunement_map.mdを参照。
仮動
仮動(けどう / Tentative Action)とは、 仮に動いてみること。 本実行や完遂を目的としない試行的な行為状態を指す。
P01から入り、試行的に動いているが、完遂を目指していない状態。 成果への期待も、評価の対象化もされていない。
仮動とは、「一巡を完遂すること」ではない。 進まないという判断を含んだ試行である。
※ 読みは「けどう」。一般的な「仮動(かどう)」とは異なる。
詳細については04_attunement_map.mdを参照。
乱れ
乱れ(Disruption)とは、 主体または場の関係が乱れており、継続が難しい状態を指す。
乱れは、必ず通過すべき関門ではない。 破綻時・失敗時に現れる非常口である。
HASは、失敗しない体系ではない。 戻れる体系である。
乱れは、「失敗」ではなく、位置である。
詳細については04_attunement_map.mdを参照。
置かれた感情
置かれた感情(Placed Emotion)とは、 刺激に対して生じた身体反応・感情を、 評価・抑圧・正当化せず、「そこに在る」ものとして在る状態を指す。
他者の感情についても、ただ「そこに在る」と認識した状態。
これは感情を受け入れる行為ではない。 花瓶に花を置くように、 ただそこに置かれている状態である。
識別された感情
識別された感情(Differentiated Emotion)とは、 複数の感情・衝動が混在している状態から、 それぞれの要素を評価せず区別している状態を指す。
他者の感情についても、ただ感情が区別された状態。
これは診断や分析ではない。 Fear(恐れ)とWant(願い)が、 評価されずに区別されている状態である。
HAS外条件
HAS外条件とは、 HASが成立する前提が満たされていない状態を指す。
以下のいずれかが起きている場合、その状態はHASの外にある:
- 結論を確定している(判断を閉じている)
- 完遂を目的化している
- 介入を「やるべきこと」として固定している(操作モードに入っている)
- 結果を良くしようとして介入している
- 意味づけ・評価・結論を下している
- 「正しくやれているか」を気にしている
- 手段を固定している(切り替え不能になっている)
HAS外にいることは、失敗ではない。観察は、HAS外とHAS内をつなぐ位置として扱われる。
詳細については04_attunement_map.mdを参照。
自然落下
自然落下(Natural Descent)とは、調律が介在しないときに、 関係の中で 選択可能性が徐々に失われていく過程 を指す。
- 「止める」という選択肢がなくなる
- 「AかBか」しか
という状態は自然落下した一例。
自然落下は「失敗」や「崩壊」を意味しない。 論理的には整っており、役割も果たされ、決定も実行されうる。 ただしその過程で、拒否・保留・離脱・別案といった選択の余地が心理的に成立しなくなる。
HASは、自然落下を止めることを目的としない。 選択可能性が保持されうる位置を、判断の前提として示す。
器官が働ける余地
調律における意志の役割を指す。
器官を「使う」「発動させる」のではなく、器官が自然に働くことを邪魔しないことを、意志で選ぶこと。 抑え込まず、置き換えず、方向づけない。ただ、作動の余地を空ける。
この「一歩引く」が、調律の核心である。
Document Control
- Repo Version: v2.6.00-5-gc2fae36d-dirty
- Last Modified: 2026-01-23
- Commit: 973078e
- Author: Takeshi Kakeda